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ワーキングメモリーはどうADHD症状に影響するか?トレーニングとは?

ADHD
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ADHDの症状は、「注意集中をコントロールすること」の難しさからくるとお伝えしました。
(ADHDの症状や特徴、チェック法を心理学の視点から解説してみる)

では、その「注意集中をコントロールする」ためには、脳の働きのひとつ、「ワーキングメモリー」がとっても重要な役割を果たしています。

家事や買い物、仕事、人との会話などにワーキングメモリーの力が大きく影響しており、このワーキングメモリーの力が低下すると、もの忘れが多くなったり、注意散漫となったり、仕事の優先順位がつけられない、などのADHDの症状につながってきます。

逆に言うと、ワーキングメモリーが何かが理解できれば、ADHDの一見理解しづらい「生きづらさ」や「生活しづらさ」も、とーーってもつかみやすくなりますので、できるだけ分かりやすく説明したいと思います(*^_^*)

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ワーキングメモリーについて、具体例を使って分かりやすく解説してみる

ワーキングメモリーとは?

ワーキングメモリー(Working Memory:以下は略してWMと記載します)とは、「こころの中のホワイトボード」とも「記憶のお盆」ともたとえられる、能動的な記憶の力のことを言います。

日本語訳としては、「作動記憶」、「作業記憶」、そのまま「ワーキングメモリー」とも訳されます。

いろいろあってややこしいですね。一般の人はこれらはほぼ同じ言葉と思ってもらってだいじょうぶです。

元々は、「認知心理学」という心理学の一つのジャンルで研究されていました。(認知心理学というのは、記憶について研究したり、こころを情報処理の視点から研究している分野です。)

(また、余談ですが、「ワーキングメモリー」を本来研究されていた「認知心理学」から勉強しようとすると、「エピソーディックバッファ」だの「中央実行系」だの「視空間スケッチパッド」だの専門用語のオンパレードで最初さっぱり分からないと思います(^^;)
専門家でない一般の方は、これらはガン無視でOKです(爆)以下のことが分かればよいです)

ワーキングメモリーの定義は、
情報をいったん心の中に保持し、同時に処理、操作する能力のこと」です。

 具体例から、ワーキングメモリーを説明してみる

ちょっと抽象的なので、例えを使って説明しますね。

暗算をするとします。実習をしてみると分かりやすいので、皆さんも実際に頭の中でやってみてくださいね。

「100-17は?」

・・・・

・・・・

・・・・

答えは、83です。

合っていましたか?

では、このとき、あなたの頭がどのように働いていたか、一緒に思い出して見ましょう。

まず、「100-17は?」の文字を見たときに、

「あっ、100-17の暗算をやればいいんだな」と頭が理解します。

次に、(こころの声→)「えーっと、①100ー17だから(ちょっと考える)・・・

②1の位は、10-7として3で(またちょっと考える)・・、

③10の位は繰り下がって9-1になるから、8・・・④答えは83だっ!!」

だいたいこんな感じで、考えたと思います。

このときの思考のプロセスなのですが、

①の「100-17」の数字を頭の中で記憶にとどめながら、(このとき、音で「100-17」と覚える人もいれば、「100-17の筆算の絵」をイメージする人もいたりで、覚え方は様々なパターンがあります)

②「1の位は、10-7で3」
③「10の位は、繰り下がって9-1になるから、8」
という計算(『同時に操作、処理する力』に当たります)をし、

「83」という答えを導き出すことができます。

厳密に言うと、②、③でも、「記憶する」力を使っています(例えば、②から③のプロセスでは、「「1の位の計算結果でくり下がったこと」を覚えておく」というのは、記憶の保持に当たります。そして、そのデータを生かして、「10-1」ではなく、「9-1」と計算しますよね?」)のですが、あまり厳密に考えるとややこしくなってくるので、ざっくりの理解でOKです(^^;)

このように、「データを保持」→「そのデータを生かして処理」→「その結果をまたまた保持」→「さらにそのデータを処理していく」→・・・という、記憶の能動的な働きを示した概念が「ワーキングメモリー」なのです。

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ADHDでワーキングメモリーの弱さがどう影響しているか理解できると、疾患のことがよく分かる

このような「能動的な記憶力」ワーキングメモリーが、ADHD(注意欠陥多動性障害(注意欠如多動症))の方においては、苦手な傾向が強いということが言われています。

はじめに、ワーキングメモリーは、「こころの中のホワイトボード」とも「記憶のお盆」ともたとえられると書きました。

(個人的に「こころの中のホワイトボード」の例えの方が説明しやすいので、こちらで説明していきますね。)

ADHDの方は、「こころの中のホワイトボード」のサイズが通常よりもかなり小さい(小ささにも個人差あります)、あるいは、「ホワイトボードに書くマーカーがかなり消えやすい」というイメージです。

自分では、「書いた!」と思っても、すぐに消えてしまったり、
または、しっかり書けても、複数のこと、多くのことを書こうとしても、すぐにホワイトボードがいっぱいになってしまいます。

これは、先ほど書いたワーキングメモリーの説明で考えると、「データを保持」→「そのデータを生かして処理」→「その結果をまたまた保持」・・・のプロセスの「データを保持」の部分に問題があり
「データがすぐに消えてしまう」ないし「必要な量書き込まれていない(量が足りない)」というイメージです。

なので、「何かパッと覚えて作業する」とか、
覚えながら作業する」とか、
そういった作業、行動が全般的に苦手な傾向があります。

こうしたワーキングメモリーの苦手さが、

・やろうとしていていても、他に気になることを思いつくと、そちらに注意がいき、やるべきことを忘れてしまう

・作業ミスが多い

・他のことに気をとられ、無意識にものを置いてしまい、ものをどこに置いたか忘れてしまう、

・複数のことを優先順位をつけて、順序立てて行動することが難しい

などの行動に表れたりします。

具体的な例としては、

・スマホを、どこに置いたか思い出せない。どこかに置いた覚えはあるんだけど、置いた場所を忘れてしまった!

・旅行の準備をきちんとしたはずなのに、いざ旅行に出かけてみると肝心なものがいろいろ抜けていて、困ってしまった。

・何かをしようと思って、2Fに上がって行ったんだけど、あれ、何しようとしたんだっけ?と思い出せない。降りて思い返して、また2Fに行かないといけない。

もちろん、ADHDでない人も、こうしたうっかりミスを起こすことは珍しくないのですが、ADHDの方は、ひんぱんにこういったことが起こります。

決して、「サボっているから作業がきちんとできない」、「努力が足りない」
「本人が不真面目でやる気がないから、できないんだ」というわけではなく、

脳の働き方の問題」の要素が大きいんですね。

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ADHDはワーキングメモリーのトレーニングで改善するのか?

このような「脳の働き方の問題」があるADHDへの対処は、環境を工夫する(気が散りにくい刺激の少ない部屋にするとか、苦手部分をサポートするなど)やり方が基本なのですが(あと、症状の重さによっては薬物療法も)、
最近は、トレーニングの効果もあるのでは?と言われています。

ADHDの方が苦手とするワーキングメモリーをトレーニングで鍛え、ワーキングメモリーの力を改善し、ADHD症状の軽減を狙うというものです。

私は、はじめ「ええっ、トレーニングで症状の改善につながるって本当・・?」と懐疑的でしたが、最近は「効果がある」と指摘されている論文もあるみたいですね・・。大人にもそれなりに効果はあるという報告もあるようです・・。

長くなってきたので、次の記事では、ADHDのリハビリのひとつ、「ワーキングメモリーのトレーニング」について、書いていきたいと思います。

また、別の記事では、私が考えた、無料でできるトレーニング方法もご紹介したいので、どうぞ参考にしてみてください(*^_^*)

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