整理整頓が苦手、仕事でのケアレスミスが多い、ついカッと怒ってしまうのがやめられない・・自分はADHDではないか・・?あるいは周囲にADHDと指摘された、家族がADHDかもしれない・・
そういった疑問があるかたに「ADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴」がはっきりと分かるように自身もADHD(不注意優位型)傾向がある心理士が分かりやすく説明します!
ADHDの特徴のまとめ~心理士ができるだけ分かりやすく説明していきます
こんにちは。ままりいです。
こちらでは、できるだけ分かりやすく、ADHD(注意欠陥多動性障害)とは何か?についてお伝えしていきます。
今まさに困っておられるかたに、
「なるほどー!ADHDってこういう問題があるんだなー」
「ああ、これだと、確かに自分に(あるいは周りにいる○○さんに)当てはまる!(または、当てはまらないな~)」
と、ある程度自己判断できるようになるといいなと思い、書きました。
困っているけど、自分がどういう状態なのか分からない、
どういう状態か分からないから、どうしたらいいか分からない・・・
となって、何年も過ぎてしまうのは、本当にもったいないです!!
ADHD注意欠陥多動性障害は、近年、アセスメント技術も、治療や援助技術もどんどん発展していますから、
そういった便利な手段を、どんどん利用していただきたいんですね。
(病院や相談なんか嫌い!!行きたくない!!って場合は、本を利用するという手もありますし)
この記事や、特に次の記事では、分かりやすくするために、一般的な本に書かれている説明のしかたではなく、あえて私が考えた説明で書かせてもらっていますので、ある程度主観が入るかもしれません。
そういった弊害はあるのですが、なんとなくでも、「私ってADHDかもしれない!?あるいは違うかな?」って判断ができると嬉しいです。
この記事では、まずは「ADHDの基本」をおさらいします。
そして、次の記事で、「ADHDとはどういうものか?」をぱっとイメージできるように、心理学の視点から説明していきます。
注意点
(現在2017年10月時点では、ADHDは「注意欠如・多動性障害」あるいは「注意欠如・多動症」という名称に変更になっています。
しかし、現時点で書籍やインターネットの情報は「注意欠陥多動性障害」での名称のものがいまだ多いため、分かりやすさを重視してこのサイトでもADHDは主に「注意欠陥多動性障害」と記述しています。(注意欠如多動症を併記している場合もあります)
「注意欠如・多動性障害」の名称が普及してくるようであれば、当サイトでもそれにならい、使っていこうと思います。
「注意欠如多動性障害(症)」と「注意欠陥多動性障害」は、名称の違いだけで内容そのものは同じですので、ご安心ください。
ADHD注意欠陥多動性障害(注意欠如多動症)とは・・症状や原因について
注意欠陥・多動性障害(注意欠如多動症)を英語で表記すると「attention deficit hyperactivity disorder」といい、その頭文字を取ってADHDと呼ばれています
ADHDは、発達障害のひとつです。
まず、発達障害とは何か、ごくごく簡単に説明します。
私たちは皆、環境に適応していく上で、様々な生きる力を持っていますが、皆それぞれ得意分野、苦手分野を持っています。
例えば、文章を読むのは得意だけど運動は苦手だとか、
勉強はちょっと苦手だけど、人との付き合いは全く苦にならない!とか、
このように得意、不得意分野が、皆それぞれにあるのですが、
発達障害の方々は、こうした得意・不得意分野のギャップがとてもとても大きくて、
そのために、日常生活のある分野においては、慢性的に支障が出ています。
このような得意・不得意は、本人の努力が不足している、サボっているというものでは決してなく、生まれつき脳の働き方のアンバランスさがある(部分的に脳の働き方が弱いところがある)ことが原因です。
その発達障害の中でも、「ADHD:注意欠陥多動性障害・注意欠如多動症」という疾患は、その名の通り、「不注意」「多動性」「衝動性」という特徴のために、日常でうまくできない場面が生じる疾患です。
主な症状として、以下のものがあります。
・忘れ物が多い
・作業や仕事を最後までやり通すことが苦手
・注意が長続きせず、気が散りやすい
・自分がやりたいことや興味のあることに対しては集中しすぎて切り替えができない
・片づけや整理整頓が苦手
・話を聞いていないように見える
・忘れ物や、ものをなくすことが多い○多動性
・落ち着いてじっと座っていられない
・そわそわして体が動いてしまう
・一方的に話したりする
・公共の場など、静かにすべき場所で静かにできない○衝動性
・順番が待てない
・気に障ることがあったら感情的になる
・他の人が発言しているときでも、思いついたらすぐに発言する
・他の人の邪魔をしたり、さえぎって自分がやったりする
症状をずらーっと並べただけじゃイメージしづらいので、次に、事例もあげてみますね。
(事例は、プライバシー保護のため、疾患の特徴を損なわないように、ままりいが創作した架空の事例ですので、ご了承ください)
ADHDの症状の事例・・子どもの頃、こんな感じではなかったですか?
事例1:Aくん
Aくんは赤ちゃんのときから元気いっぱい。たくさん泣き、あるくようになってからも、1日中あちこちに動き回り、毎日お母さんをヘトヘトにさせていました。
幼稚園では、「活動的で元気な子」としてみられ、大きな問題はありませんでした。しかし、小学校に入るようになると問題がみられるようになります。授業中は落ち着きがなく、いすをガタガタさせたり、先生の話を聞かずに友達に話してばかり、先生が何度も指摘しても治りません。
毎朝、持ち物をお母さんが確認し持たせているのですが、帰宅時には、連絡帳やプリントが入っていなかったり、プリントをなくしてしまうことがしょっちゅうです。
宿題もなかなか自分からやろうとせず、お母さんがさんざん注意して、やっと取り組み始めるのですが、窓の外が気になったり、すみっこに置いてあるおもちゃが気になったりで何時間もかかってしまいます。
また、遊んでいるAくんに気づいたお母さんが、「途中で遊ばない!宿題を終わらせなさい!」と注意すると、「なんで宿題なんか、やらないといけないの!?ぜっったいにやりたくないっ!!!大っ嫌い!!」と、すごい勢いで食ってかかることがあり、お母さんは困ってしまいます。
そうかと思えば、Aくんの好きなスポーツカーの話になると、目をキラキラさせて好きな車種についてや、エンジンやギヤの解説、どういうところがかっこいいかなど詳しく話をするので、お母さんや先生はAくんに知的な問題があるとは思えず、「だらしがない子だなあ。ちゃんと学校の勉強にもマジメに取り組んだらいいのに!」と呆れています。
こうした行動は、学年が上がっても全く改善される気配がありません。
このAくんの事例は、
・忘れ物が多い →不注意
・宿題をしても窓の外が気になる
授業中も先生の話が聞けず、いすをガタガタさせる → 衝動性
といったADHDに当てはまる症状がみられます。
また、これら症状は、幼児期はまだ、周りから求められること(ルールに沿って行動する、課題を自分自身で仕上げるなど)が、比較的少ないため、大きく目立つことはありませんでしたが、それでも幼児期から活発であったりなど、症状の一貫性が推測されます。
そして、活発な子であっても、通常であれば、学年が上がるとだんだんと学校生活に適応できていくものですが、Aくんはそのような気配もみられない、ということも特徴的です。
ここまでは、よく本などにものっているかなと思いますが、基本的なことなのでおさえておきました。
ADHDの特徴や症状があるかどうかチェックすることがなぜ重要か?
最初にもお伝えしましたが、ADHDなど発達障害の方は、通常よりも脳の働き方のアンバランスさが大きいことが特徴です。
ある環境、ある分野では問題なく過ごせている。しかし他の環境や分野になると他の人はうまくできるのに、自分ではうまくできない・・・。
ある分野ではうまくできることが、かえって災いして、「あの人は本当にできるのに、サボっているからできないんだ」「根性がないからできないんだ」と誤解されることが多いです。
人からだけではなく、自分でも「こんなこともできないのは、自分が悪いからなんだ」「自分の努力が足りないんだ」と必死で頑張ろうとします。
しかし、努力不足でできないのではなく、「脳の働きかたが部分的に弱いため、ある分野が苦手になる」ためなので、通常と同じやり方で努力してもなかなか改善されません。
そのことに気づかないと、「自分の努力が足りないんだ」と思い、同じことを繰り返して時間や努力を浪費したり、次第に、「自分はダメな人間なんだ」と落ち込むようになるかもしれません。
実際、自分が発達障害に気づかずに長年過ごしてきた方は、このように「周りが当然のようにできていることが自分にはできない。ダメな人間です」と自己評価が低くなる傾向が多いです。
特にADHDは症状の特性から、「自分の興味あること、得意なこと」には断然やる気が出るのですが(過集中という現象)、一方で雑用的な仕事、地味で忍耐が必要な仕事はやる気が出ない、続かない傾向にありますから、周りからすれば「好き勝手なことをして。ワガママだ!」と、ともすればネガティブな評価をされやすいです・・。
こういった誤った自己評価や周りからの誤解を防ぐためにも、ADHDや発達障害の方は、自分の特徴をよく知って頂いて、間違った方向でエネルギーを費やすのではなく、自分が本当に伸びる正しいやり方で工夫する必要があります。
「脳の働き方のクセが強い」ので、自分の脳の正しい取り扱い説明書が必要なのです。
自分に、ADHDの傾向があるのかな??と思うのなら、
「当てはまるのならADHDについて、理解する」
「ADHDの特性に合った、工夫をする」
という取り組みが大事です。
では、次のページでは、「自分がADHDかどうか判断する」ために、ADHDの症状を、心理学の言葉を使って、別の視点から分かりやすく説明していきます。